売れないときにどうする?~後編~

売れないときにどうする?の後編です。

売れないときに何をするかの四点目は、「取引先と共通の課題にする」ことです。

取引先の窓口であるバイヤーにとっても、売上予算が達成できなくなることは共通の

課題です。ここで営業がやってはいけないのは、「価格を上げたから売れなくなりま

した。どうしましょう?」と、自社の問題をそのまま取引先に投げてしまうことです。

取引先からすれば、「それはあなたの会社の事情でしょう」となってしまいます。

そうではなく、取引先の予算達成も考えてあなたとの課題を同一化することです。

「どうすれば、このカテゴリー全体の売上を維持できるのか」

「価格が上がった中でも、お客様に選んでもらうにはどうすればいいのか」

「今までと違う商品をどう売るか?」

という視点で話をすることが重要です。

例えば、価格が上がったことで販売数量が落ちているのであれば、どの商品に流れて

いるのか、どの価格帯に需要が移っているのか、競合商品はどう動いているのかを一緒

に確認する。そこで、「この商品を値下げしましょう」ではなく、「この商品は価格を

維持しながら、こちらの商品を組み合わせて売上を作りましょう」といった提案が

できれば、話は変わってきます。営業に求められるのは、値下げのお願いではなく、

売上を作るための提案なのです。そして、もう一つ大切なのが「自分たちの商品だけを

見るのをやめて取引先全体の売り上げを考える」ことです。価格転嫁をすると、

どうしても自社商品の販売数量ばかりを見てしまいます。しかし、お客様が必要としている

のは商品そのものではなく、その商品によって得られる価値です。

価格が上がったことで買わなくなったのか、それとも価格が上がっても必要だから買っているのか。

必要だから買っているのであれば、なぜ選ばれているのか。今まで1度に2つの商品を買っている

お客さんが多かったが、価格転嫁で買い控えしていないか?

ここを営業が理解しなければなりません。

価格競争になった時に、営業が価格だけで戦おうとすると、最後は誰も幸せになりません。

利益を削り、営業マンも疲弊し、会社も疲弊します。だからこそ、価格以外の価値を改めて

確認する必要があります。

「なぜ、このお客様は高くなったにもかかわらず、私たちの商品を買ってくれているのか?」

この問いを持つだけでも、営業の見方は大きく変わります。

そして、価格転嫁後の営業にもう一つ必要なのが、「時間軸を持つこと」だと思います。

値上げをした翌月の数字だけを見て、「失敗だった」と判断するのは早すぎます。

もちろん、予算がありますから、悠長なことを言っていられないのも分かります。

しかし、価格転嫁という大きな変化に対して、顧客や市場がどう反応するのかを見極めるには、

ある程度の時間が必要です。だからこそ、1か月後、3か月後、半年後にどうなっていたいのか。

そのために今、何をするのかを逆算して考える必要があります。営業は数字を追う仕事ですが、

数字だけを追ってはいけません。

数字の裏側にいるお客様を見て、市場を見て、競合を見て、取引先を見て、その上で次の一手を

考える仕事です。価格転嫁は、営業にとって非常に厳しい環境変化です。

しかし、見方を変えれば、自分たちの営業活動を見直す大きな機会でもあります。

「値上げしたから売れない」の一言で終わらせるのか。

それとも、

「値上げしたことで何が変わったのか」
「お客様はどこへ動いたのか」
「なぜ買い続けてくれるお客様がいるのか」
「取引先と一緒に何ができるのか」
「半年後に数字を戻すために、今何をするのか」

ここまで考えるのか。

この差は、時間が経つほど大きくなります。

会社の方針で価格を上げることは、営業マン一人では決められません。

しかし、価格を上げた後に「どう売るのか」「どう顧客を守るのか」

「どう売上を取り戻すのか」は、

営業マンが考えることができます。

厳しい時だからこそ、評論家になってはいけない。

現場に行き、話を聞き、数字を見て、仮説を立て、また現場に行く。

その繰り返しの中からしか、次の答えは見つからないと思います。

価格転嫁によって失った売上に右往左往するのではなく、

「年間の予算をどう作るか、取引先の予算も達成できるか」。

優秀な営業マンがやるべきことは先を見て、問題の解決に早期に取り組み、

取引先とともに解決に向かうことだと思います。

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