商談上手は聞き上手
商談開始とともに堰を切ったように話し始める営業をたくさん見てきました。上司か
ら指示されて伝えないといけないという使命感は理解しますが、相手の身になって考
えてください。その取引先相手は、もしかしたら、朝からずっと商談相手の話を聞か
されたかもしれません。受け手は一人、話し手は大勢。また、話し相手もあなたのよ
うに、なんとか会社の商品を売り込もうと、ギラギラした目で話す人達ばかりです。
商談の目的は何ですか?
上司から言われたことは、当社の考えを伝えてこい! ではなく、伝えるべく話をし
て商談をまとめてくることが目的なはずです。それなのに、あなたは綺麗に作った
パワポを必死で説明することに終始していませんか?
古い言葉ですが、会話のキャッチボールができていますか? 私がいつも部下に話し
ていたのは、相手の顔の筋肉を見ながら話すように指導してきました。もちろん、そ
こまで認識はできないので、相手の表情を見ながら、相手の相槌を聞きながら、自分
の話していることがどれだけ共感や理解されているかを感じることを例えているわけ
です。
商談上手は聞き上手で、取引先の言葉に商品を売り込むヒントがある訳です。
あなたがいくら滑らかに話をまくし立てても、相手がどう思っているか確認しながら
話さないと独りよがりの耳障りな演説になります。また、取引先がウトウト寝そうに
なっているのに気付かずに必死に話しているのも悲しくなりますよね。
重要な事は、自分が話したことに対して、取引先が返したくれた話をしっかりと聞き
取って、あなたが提案していることの詳細を説明したり、また、瞬時に提案内容を変
更したりして、商談をまとめていく必要があります。簡潔に言うと、相手の反応を見
ながら商談を進めていくことになります。ただ、何でも『はい、はい、おっしゃる通りで
す』という反応では、あなたに思想がないことを見透かされてしまいます。
私は御社のためにこういうことを考えたのですが、バイヤーはどう思いますか?とか
、かなり急いでお話したのですが不明点はありますか? とか、先日のバイヤーのお話
を参考にして考えてきましたがバイヤーの考えに沿っていますか?など、確認しなが
ら話をすることで、取引先にとって必要なのかどうかが理解できるはずであり、相手
が話をしてくれる時間が長いほど、情報も多くもらえて、どういう落としどころにし
たら良いかも見えてくるはずです。
優秀な営業とは相手が話している内容に沿って、双方の会話を繋げていき、形が変わ
っても良い方向に持っていく商談能力を有していると人だと思います。その前提にな
るのが相手の話をしっかりと聞き、理解してことだと思います。そして、次は、その
会話を膨らませていくとが大切で、これは取引先やバイヤーから聞かれそうなことを
どれだけ準備しているかになります。想像もつかないことを聞かれることは稀で、
その取引先の競合先の動きや業界の情報など、大体がいつも聞かれそうなことをしっ
かり準備しておけば会話は膨らみます。意外と多いのが、こういう情報を準備してい
ない営業マンです。新聞記事のコピー1枚でも準備しておけばと思いますし、
優秀な営業マンは自分の提案資料の最後に参考資料として添付しています。
取引先の窓口やバイヤーの方々は、話すことが好きな人もいれば、無口な人もいます
し、逆に一方的に要求を突き付けてきて話を聞いてくれない人、会社の規模や業績で
態度を変える人も多くいます。
だからこそ、どうすれば自分達の話を聞いてくれるか?という視点を軌道修正して、
どうすれば我々にいろんな話をしてくれるか?を考えた方が良いかと思います。
バイヤーの話を聞きすぎて、あなたが話す時間が無くならないように、また、顔の
筋肉を見過ぎて気味悪がられないように、気をつけてください。大事な事は、また、
あなたと商談したいと思ってもらうことです。
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